2011年1月10日月曜日
春の雪
きょうは成人の日
新成人のみなさん、成人おめでとうございます。
わが家にも新成人がいるのですが
まだまだ子ども、大丈夫でしょうか…。
ま、かくいう自分も大人になったなぁと自覚したのは
結婚して第1子が生まれたあたり(26歳)だったので
子のことばかりはいえません。
この正月も実家に帰っていた際、ちょっと外出して
戻りが遅くなったところ、心配した親から携帯に安否確認
親からすれば、いつまでたっても子ども(51歳なのに)。
「ノルウェイの森」の直子も
「私、二十歳になる準備なんて全然できてないのよ。変な気分。
なんだかうしろから無理に押し出されちゃったみたいね」
と当惑しています。
でも早く大人になりたいというむきもあるし
いつまでも子どもでは社会がなりたたないので
昔から成人(元服)制度が存在するわけです。
民法上年齢20歳をもって、成年とされています(4条)。
未成年者の法律行為は親の同意がなければ取消すことができる(5条)
として保護されていましたが、大人になれば保護されなくなります。
クレジット販売を悪用した街頭での長期間にわわるエステ販売や
高額な英語教材のだまし売りなどはこの制度で救済できるのですが
これからはそれもできなくなります。
高齢者になって認知症がでてくれば、ふたたび成年後見制度により
保護されうるようになるのですが(843条)、まだだいぶ先のこと。
結婚は、男18歳、女16歳からできるのですが(731条)
成人になれば父母の同意が要らなくなります(737条)。
犯罪(刑事事件)もこれからは少年法ではなく
大人として裁かれることになります(少年法2条)。
成人のばあい、基本的に「罪と罰」という応報刑主義
「少年時代」のような健全育成への教育的配慮はなくなります。
さらに大事なのは選挙権
衆・参の議員の選挙権を有することになります(公選法9条)。
国会議員などの公務員を選定し、及びこれを罷免することは
憲法が保障する国民の人権です(憲法15条)。
むかしは選挙権がない時代、お金がないと選挙権がない時代
女性には選挙権がない時代などありました。
われわれ一人一人が平等に選挙権を有するようになったのは
人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果です(憲法97条)。
自由獲得の努力は往々にして命がけのものでした。
このようにして獲得された人権はわれわれの不断の努力によって
これを保持しなければならないと要請されています(憲法12条)。
新成人のみなさんも先輩たちの努力におもいをいたし
選挙権をはじめとする人権を大事にしてくださいね。
さて今日はあいにく雪になってしまいました
でも心配はいりません
みなさんの門出に「春の雪」は良い兆しです。
春の雪は、古代から米の花の前兆であり
豊作を約束するめでたい吉兆ですから(折口信夫)。
この祝言の心ゆえ、おおくの勅撰和歌集が、開巻第1の歌で
春の雪をあつかっているわけです(丸谷才一「新々百人一首」)。
三島由紀夫にも小説「春の雪」(「豊饒の海」第1)があり
2005年に妻夫木聡くんと竹内結子さんで映画化されています。
この機会にどうぞ。
新成人のみなさんの前途にも妻夫木くんと竹内さんたちのように
いろいろな困難がまちうけていると思います
そんな春の雪が豊作(豊饒の海)をもたらすことを願ってやみません。
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