2011年8月31日水曜日

 「ジェノサイド」



 最近はすごい小説を読むとすぐに奥書をみて
 著者の年齢を確認してしまいます。

 髙野和明さん、1964年生まれ。
 5つも年下か~。すごいな…(羨望)。てなぐあいです。

 「ジェノサイド」(角川書店)
 すごい作品です。

 ジェノサイドは、人種・民族・国家・宗教などの成員
 すべてに対する抹消行為。

 ナチス・ドイツのユダヤ人虐殺(ホロコースト)など
 大量虐殺の意味で使われることが一般的。

 その他、国外強制退去による国内の民族浄化
 異民族・異文化・異宗教に対する強制的な同化政策による文化抹消

 国家が不要あるいは望ましくないと見なした集団に対する断種手術
 隔離行為なども含まれます。

 ジェノサイド、すなわち人の闇をリアルに描ききっているので
 最後まで読みとおせない方もいるでしょう。

 ベトナム戦争の真実を描いたオリヴァー・ストーン監督の
 「プラトーン」のようでした。

 でも闇が濃いほど
 光も輝くといえます。

 物語は2重構造となっており、村上春樹さんの
 「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」みたいな進みゆき。

 ジェノサイドの他方の筋は
 人類を救う創薬ストーリーとなっています。

 薬害訴訟に2度関与したことから
 医薬品に対する人間のアンビバレントなスタンスを経験しました。

 なので、こちらのストーリーはほんとうに 
 感動的。涙しました。

 ご一読をおすすめします。
 

2011年8月30日火曜日

 法テラス・福岡



 きのうは午前中が法テラス福岡で
 夕方が福岡県弁護士会・天神センターでの法律相談でした。

 法テラス福岡では10時から13時までの3時間
 30分ごとに6件の相談でした。

 法テラスというのは経済的に裁判費用を用意できない方々に
 その費用を援助するための制度・組織です。

 法テラス福岡の事務所は
 福岡市中央区渡辺通にあります。

 相談内容は、請負(雇用)契約、破産、婚姻費用、不法行為・慰謝料
 傷害の賠償と少年事件、製造物責任など多種・多様でした。

 一部は受任することになりました。
 他はアドバイスのみです。

 法テラスの利用は法テラスの事務所だけでなく
 当事務所でも利用可能です。

 最近はこちらから説明する前に
 法テラス利用を申し出る方が増えました。

 きょうも「法テラスのHPで見つけました。近いし
 ベテランのようなので電話しました。」というご予約が入っています。

 法テラスにより、国民のみなさまの司法利用が
 より容易になるよう、当事務所も協力していきたいと思います。
 

2011年8月29日月曜日

 九州大学法科大学院エクスターンシップ



 先週から九州大学法科大学院(ロースクール)の大学院生が
 エクスターンシップで当事務所に研修に来られています。

 エクスターンシップというのは、ロースクールにおける座学
 だけでなく、法律事務所で実務を学習・体験するというものです。

 先週来られたO君は社会人経験があり
 なかなか頭も切れるし人格者でした。

 毎日、その日に学んだことをレポートしてくれるのですが
 その中には、事案の概要や対処だけでなく、寸評もあります。

 なるほど、私のアドバイスはそういう意味もあったのかと
 逆に気づかされ、こちらが勉強になります。

 講義形式にないOJT(On the Job Training)の醍醐味は
 そういうところにあるのかなとも思います。

 法律家の卵である司法修習生をお預かりするのとは異なる
 緊張感があります。

 司法修習生の場合は、司法試験には合格しているので
 実務家としての練習みたいなものです。

 エクスターンの場合は、1年後、あるいは2年後の司法試験
 合格に向けて勉強中ですから、その刺激と励みになればと思います。
 
 彼が司法試験に合格って、一緒に仕事ができる日が早くくることを
 心から祈っています。
 

2011年8月26日金曜日

 ヒメシャジン



 ヒメシャジン(姫沙参)
 キキョウの仲間。

 鳳凰三山の地蔵岳から鳳凰小屋に下る
 斜面にたくさん咲いていました。

 沙参はツリガネニンジン(釣鐘人参)のこと
 姫は小さいということなので、小さなツリガネニンジン。

 花が釣鐘のように咲き
 根が大きく朝鮮人参のようなので、釣鐘人参。

 昨日、西鉄二日市の駅で知合いに久しぶりにあったところ
 本ブログを読んでいると言われました。

 また先日、恩師から誕生祝いのメッセージが届き
 そこにもブログを読んでいると書かれていました。

 いずれも、たいへんありがたく、うれしく思いました。
 いましばらく続けたいと思います。
 

2011年8月25日木曜日

 秋の気配ーナナカマドの紅葉 



 7月末に穂高に登ったときには白い花をつけていた
 ナナカマドの実がはやくも赤く熟しつつあります。

 ナナカマドは七竈。
 大変燃えにくく、7度竃で燃やしても燃えないことから。

 バラの仲間、落葉高木。
 赤く染まる紅葉や果実が美しい。

 穂高・涸沢の紅葉は有名で
 山登りをする者にとってあこがれ。

 燃えにくいことから、火災よけ
 落雷よけの木ともされてきました。

 セイヨウナナカマドの英名:Rowan
 北欧の言葉で魔除けを意味するRunaに由来するとか。

 北欧神話によれば雷神トールが増水した河を渡るとき
 このナナカマドに助けられたとされます。

 児童書の「ローワンと魔法の地図」に出てくるリンの谷のローワン
 もこのRowan。

 日本語で強さの表現として「七転び八起き」とか「打たれ強い」とか
 いいますが、「焼かれ強い」ということでしょうか?
 

2011年8月24日水曜日

 タカネビランジ  



 タカネビランジ
 ナデシコ@ジャパンの仲間

 鳳凰三山の森林限界を超えると、砂礫の斜面の
 岩陰などに強風をさけて、けなげに咲いています。

 ビランジは?ですが、タカネは高嶺
 文字どおり、高嶺の花です。
 

2011年8月23日火曜日

 鳳凰三山



 夜叉神峠で「マークスの山」の捜査陣とわかれて
 北上すると、鳳凰三山がそびえています。

 薬師岳(2780m)、観音岳(2840m)と
 地蔵岳(2764m)の三山です。

 これだけ仏さまが並んでいるにもかかわらず
 ずっと雨にたたられました。

 いや、仏さまのご利益で、雷にうたれず
 増水で足止めされず、無事、下山できたと考えるべきか?

 鳳凰山の由来は、深田久弥さんの「日本百名山」(新潮文庫)
 によると、つぎのような伝説が。

  天平宝字2年(758年)5月、剃髪して法皇となられた孝謙天皇が
  夢のお告げによって、遙か東国の早川の上流奈良田に遷居された。

  天平宝字8年南都に還幸して重そされたが、それまで7年間奈良田に滞在
  され、その地を山城国奈良に因んで山代郡奈良田と名付けられたという。

  法皇及びその従者は奈良田滞在中に芦安から北の山に登られた。即ち現在
  の鳳凰山であって、それは法皇山から来たものである。

  そして今も残っている北御室、南御室、御座石などの名は
  その当時の名残りだと伝えられている。
 

2011年8月22日月曜日

 夜叉神峠



 10月21日午前11時。変死体発見の一報を受け
 甲府から南アルプス林道を登ってきた捜査車両4台は

 夜叉神(やしゃじん)峠付近のトンネルをいくつも越え
 さらに広河原までの山道を登ってゆくところだった。…

 高村薫さんの「マークスの山」(新潮社)の
 冒頭しばらくの記述です。

 広河原は富士山の次に高い、日本第2位の高峰である北岳の
 登山基地です。

 夜叉神峠は甲府から南アルプス林道を使って
 広河原入りする際の玄関口にあたります。

 いかにもなにか事件が起こりそうな
 玄関口ではあります。

 2003年4月、われわれ九州弁護団は薬害肝炎訴訟を提訴しました。
 被告は、ヒト、モノ、カネで圧倒的な力をもつ国と製薬大企業でした。

 多数の医学・薬学上の論点が争点となりました。
 なかでももっとも熾烈に争われたのがフィブリノゲン製剤の有効性でした。

 われわれの拠り所は、薬事審議会のなかの血液製剤に関する再評価調査会が
 獲得性の疾患に対する同製剤の有効性を否定していたことでした。

 医薬品はいったん承認してしまったら、以後ずっとOKというわけではなく
 市場で販売された後も再度評価をやりなおす制度があります(再評価)。

 血液を固める複数の因子のうちの一つであるフィブリノゲンが欠乏するため
 大量に出血するとされる疾患のうち、先天性でないものが獲得性です。

 同調査会の審議も変転し、結論が出るのも長い時間を要しているのですが
 最終的には同製剤の獲得性疾患に対する同製剤の適応を否定しました。

 上記調査会の当時会長をしていたのが、衣笠恵士先生でした。
 われわれは先生に原告側の証人になっていただきたいと依頼しました。

 その際、先生がどのような研究をされているかネットで検索しました。
 するとよくあることですが、同姓同名の方が3名いるようでした。

 ひとりは再評価調査会の元会長であろう血液を専門とする医師
 あとひとりは昆虫の研究者、もうひとりは水泳の記録保持者でした。

 昆虫の研究者である衣笠氏は、研究誌に 
 「夜叉神峠のハナカミキリ3 種」といった論文が掲載されていました。

 おどろいたことに、実際にお会いしてみると
 上記3人はいずれも同一人物でした。

 東大の医学部を出て、血液の分野で優れた業績を残すだけでなく
 昆虫も研究され、水泳もお上手という多才な先生だったのでした。

 われわれの質問がずいぶん初歩的で稚拙だったせいで
 先生にはずいぶん叱られました。

 それでも多数回の打合せを経て福岡地裁でご証言いただき
 勝訴判決の大きな力になりました。

 ネットで検索すると、先生はいまでは
 薬害肝炎の原告側証人という肩書きもついています。 

 私も夜叉神峠でカミキリ虫をさがしてみましたが
 おっかけっこをするリス2匹を見かけただけでした。 
 

2011年8月19日金曜日

 「ファントム・ピークス」



 きのう、北海道の開拓時代にヒグマが人々をつぎつぎと襲った
 話がなまなましく放送されていました。

 北海道の知床半島のつけ根にそびえる
 羅臼岳と斜里岳に登ったときのこと。

 わが山登り仲間の「いきものがかり」であるI君が
 知床のヒグマの生態について、やたら熱く語ってくれました。

 北海道には2000~3000頭が生息していて
 なかでも知床は生息密度が高い。

 いわば筑紫地区にヒグマが数十頭も
 うろうろしているような感じ…。

 知らなければそれまでですが、このように熱く語られると
 いつ遭遇してもおかしくないという気がしてきます。
 
 九州にはすでにクマが絶滅したとされているのですが
 中部山岳地帯より北では本州でもツキノワクマが出没します。

 乗鞍岳で人が襲われたはなしなどは
 記憶にあたらしいところです。

 ですから、山をむかうときは
 クマに出会わないよう祈りながら登ります。

 さて北林一光さんの「ファントム・ピークス」(角川文庫)
 「宮部みゆき氏絶賛!」のオビに惹かれて読みました。

 舞台は常念岳の麓
 人が次々と行方不明になります。

 犯人は野獣かファントムか?
 手に汗にぎる展開です。

 こわくて山に登れなくなってもいい方は
 どうぞご一読を。
 

2011年8月18日木曜日

 「13時間前の未来」



 「13時間前の未来(上)(下)」R・ドイッチ著、新潮文庫
 例によって、大好きなタイムトラベルものです。

 13時間だけ時計の針を戻せるとしたら、どうしますか?
 書名からわかるように、タイムトラベルの幅は13時間だけ。

 「リプレイ」のように人生をやり直すのではないところが
 微妙なトラベルです。

 いきなり「第12章」からはじまります。
 主人公が最愛の妻を殺害した容疑者として、警察の取調室から。

 タイムトラベルものはいろいろなバージョンが出尽くした感がありますが
 この小説は1時間ずつ過去に遡っていくところが新機軸。

 そのようにして真相を覆うベールが1枚ずつ
 はがされていきます。否、はがしてくか?

 妻の殺人事件だけでなく、航空機事故という
 より大きな背景を交錯させつつ物語は盛り上がっていきます。

 主人公はタイムトラベル力を使ってうまく解決できるのでしょうか?
 「力を手にしたとわかるとー人の心は暗黒に支配される。

 手に入れる富を想像して、モラルや価値観が崩壊してしまうからだ。
 しかしそれより強いのが、愛だ。」

 みなさん、タイムトラベル力を手にしたときは
 愛のためにのみ使用ください。
 

2011年8月17日水曜日

 「ツリー・オブ・ライフ」



 ひさかたぶりのブックレビューにつづき
 映画レビュー。

 お盆のなか日、映画館で涼しくすごそうと
 博多シティをおとずれました。

 ナルトやカーズなどが居並ぶ中
 「ツリー・オブ・ライフ」が呼びました。

 夏になると、山情報ばかり集めていて
 映画情報にうとく、何の映画か分からないままに入館。

 ショーン・ペン演じる長男が、世俗的な父(ブラピ)
 精神的な母と3兄弟の生育史を回顧するストーリー。

 でもふつーのハリウッド映画と異なり
 とまどいます。

 まわりのオーディエンスも
 ざわついている感じ。

 自然史と宗教的なものが重ねられ
 理解しようとするとお手上げ。

 途中から理解をあきらめ
 映像の流れに身をまかせるようにすると、楽になりました。

 ルネッサンス絵画の聖マリアのような
 ジェシカ・チャステインさんの母役が印象的。 

 監督は、寡作で知られるテレンス・マリックさん。
 今年のカンヌ国際映画祭で最高賞であるパルムドールに輝いたらしい。
 (これら情報は映画をみたあとに知りました。)

 タイトルのTree of Lifeは生命の樹。
 エデンの園の中央に植えられた木(旧約聖書の創世記)。

 生命の樹の実を食べると
 神に等しき永遠の命を得るとされます。

 「2001年宇宙の旅」をみて、わけがわからん
 と思った人には、わけがわからんかも。

 親子、兄弟関係に悩み、トラウマがある方には
 何らかの天啓、癒しをもたらすかも。

 さて興味がわいた方は
 どうぞ。
 

2011年8月16日火曜日

 「困ってるひと」



 ブックレビューはひさしぶり。
 本を読んではいました。

 ですが、ひとさまに心から紹介したいと
 思える本には出会えぬまま幾年月…。

 「困ってるひと」(大野更紗さん・ポプラ社)
 これは一読をおすすめします。

 「ムーミン谷」こと福島県の山村から上智の仏文に入った女子が
 ビルマ難民の人権に関心をもち大学院に進学したところ

 自己免疫疾患の難病に罹患。
 まいにち生きるのがやっとであるだけでなく死ぬほどの苦痛の連続。

 かくて難民を観察する立場から難病と医療の難民という当事者へ。
 そこは日本の難病患者が置かれた劣悪な社会保障・福祉の谷間。

 しかしさすが、苦難と不遇を嘆くだけでなく
 観察者魂を発揮して難病患者や医療スタッフに対するフィールド調査を実施。

 なによりすごいのは
 全編、強靱な意志とユーモアに裏打ちされていること。

 われわれが日常の細々したことに悩んでいることが
 とても恥ずかしいことのように思えてしまいます。

 繰り返しになりますが
 ご一読をおすすめします。
 

2011年8月13日土曜日

 ナナフシ~宝満山の昆虫



 ナナフシ(七節、竹節虫)
 宝満山の登山道、中宮跡の手前にいました。

 植物の茎に色彩・形とも似せ
 強い隠蔽的擬態を行っています。

 実際に植物上に止まっていると
 きわめてみつけにくい。

 それゆえか子どものころはたくさんの昆虫をつかまえましたが
 ナナフシを捕まえた記憶はありません。

 七節の「七」は単にたくさんという意味で
 実際に体節が7つあるわけではありません。

 でもラッキー7の称号を与えられているからには
 幸せの兆しか?
 

2011年8月12日金曜日

 ただ生き延びるだけでなく



 きのうは福岡県中小企業家同友会の
 勉強会(ブロック会・プレ例会)がありました。

 東日本大震災、円高、株安など厳しい環境のなか
 中小企業の生き残りをみなさん模索しています。

 アルプスを登っていくと
 針葉樹林でさえ生育できない環境に出ます。

 その境目が森林限界。
 九州の山々とは違う感じる世界への入口です。

 そこから先は、雪が深く、風が強く、気温が低く
 栄養・水分が少なく、よい季節が短い過酷な環境です。

 基本的には雪と岩だけの世界
 そんななか、けなげに高山植物の花が咲いています。

 高山植物は、厳しい環境のなかを生きていくため
 独特の戦略と強みをもっています。

 強い風を避け乾燥から身を守るため
 平地の植物に比べて、背が低く、葉は小さく厚い。

 毛でおおわれ、根がよく発達しています。
 栄養を蓄え、短い夏を有効に使っています。

 しかし高山植物の花に心うたれるのは
 厳しい環境を生き延びているからだけではありません。
 
 美しい花を咲かせているからです。
 われわれも美しい花を咲かせてこその人生だと思います。
 

2011年8月11日木曜日

 壁を越えて



 養老孟司さん(東京大学名誉教授)の著書に
 『バカの壁』(2003年)があります。

 帯に「『話せば分かる』なんて大ウソ!」とあるとおり
 氏は「人間同士が理解しあうというのは不可能」

 「理解できない相手を、人は互いにバカだと思う」
 とおっしゃいます。

 養老さんは解剖学者。東大の解剖学者にしてこれですから
 われわれ弁護士の仕事が困難なのは推して知るべしです。

 弁護士の仕事は誤解されがちですが
 われわれが一貫して追及しているのは話し合いによる解決です。

 行くところまで行って、それでも話がつかないときには
 やむなく裁判、判決、強制執行ということになります。

 それゆえ、ご依頼を受ける際は、一般に、まずは交渉
 すなわち、話し合いによる解決を引き受けます。

 昨日もある労働事件を話し合い
 解決への道筋をつけることができました。

 裁判ともなれば、時間、費用、労力、心労など
 大変な負担がかかります。

 話し合いによる解決をすることができれば
 このような負担を回避することができます。

 しかしながら、養老先生がおっしゃるように
 相互理解はなかなかに難しいものがあります。
 
 そもそも弁護士の仕事は理解されていません。
 もめごとを大きくするものだと誤解されています。

 紛争に介入しただけで
 なぜ弁護士が入ってくるんだ!と叱られます。

 われわれは紛争を法律に則り
 合法的に解決したいだけです。

 相手方にも弁護士がついてくれると
 歓迎です。

 過度に感情的にならず、無用な猜疑心も捨て
 紛争の解決に必要な事柄にしぼって話ができるからです。

 理解できにくいかもしれませんが
 弁護士は基本的に平和主義者です。

 紛争の早期かつ円満な解決を常に願っています。
 そこのところご理解いただきますようお願い申し上げます。
 

2011年8月10日水曜日

 お盆が近づけば



 お客さんと雑談をしていて
 何月ころが忙しいですか?とか訊かれます。

 よく2月と8月がヒマだとか
 月末、年度末が忙しいだとかいわれるアレです。

 弁護士の場合、お客さんの都合というより
 裁判所の都合に左右されます。

 年度末は裁判官の異動時期なので
 裁判期日の件数が減り、割と自由な時間ができます。

 夏も裁判官が交代で夏休みをとるので
 期日が減り、その分自由な時間がとれます。

 あとやはり感じるのは、お盆の前後に
 相続、遺産分割、遺言がらみの相談や依頼が増えます。

 先祖に想いをいたすとき
 ついでに祖父母の言葉や財産を思い出すのでしょうか?

 日本では戦後憲法14条の平等原則により
 遺産分割も兄弟姉妹間で平等に分割するのが原則になりました。

 でもやはり、長男が全部相続するという意識の強い家や地域もあり
 また親のめんどうを見た人、見なかった人の意識の違いなども。

 貰いすぎを調整する特別受益や遺産への貢献を評価する寄与分
 といった微調整制度はあります。

 それでもやはり人間ですから
 人のことは過小に、自分のことは過大に評価しがちです。

 そこのところを
 うまいこと調整するのが裁判所や弁護士の仕事です。

 ことしも立秋(8日)を過ぎて、お盆が近づいても
 まだまだ暑い日々が続いていますが、ご自愛ください。
 

2011年8月9日火曜日

 フェイスブック(同名同盟)



 私の名前は少し一般的でなく
 電話口で説明する際もなかなか難しい。

 優秀の秀、道徳の徳とかいうと失笑が聞こえそうですし 
 秀吉の秀、徳川の徳というと時代がかってしまいます。

 そんな名前ですが、最近、フェイスブックで
 同じ名前の人集合!という号令がかかりました。

 例のグループ機能により、「ハッピールーム『秀徳』」がつくられ
 現在32名の秀徳さんが登録されています。

 これはコンピューターの検索機能ならでは集まりで
 発起人はなかなかの知恵者です。 

 そのなかで交わされているのは、この名前のせいで
 小・中学校時代に、こんなめにあったとかいうエピソード交換。

 どれも私自身が経験したのと同じ
 種類のものです。

 近々オフ会をやろうという話になっています。
 でも私としては男ばかりの集まりというのがやや不満。

 男女共同参画社会の理念にも
 反しているように思います(笑)。

 秀子さんや徳子さんも入れたら
 楽しいのに。
 

2011年8月8日月曜日

 博多~二日市温泉17キロを走りました!



 昨年度3月に九州新幹線全線開通を応援するために
 駅伝がおこなわれ、参加したことを書きました。

 せっかくだから、おなじメンバーで
 今年度も駅伝をやろうという計画になったよう。

 6日(土)にその練習会が
 おこなわれました。

 練習会といっても、コースは博多駅→都府楼政庁跡→二日市温泉
 の17キロメートル。

 学生時代に大濠公園5周=10キロまでは
 走った経験があります。

 ですが、その後30年間、10キロを走ったこともなく
 ましてや17キロというのは未知の領域。

 真夏の昼間(午前9時30分~)ですし熱中症や故障も心配
 サッカーの松田選手が心筋梗塞で亡くなった事件も新しい…。

 ま、おつきあいだし、練習会だしということで
 3~5キロ走って、あとはお茶をにごそうと参加しました。

 すると5キロ走って、まあまあのコンディション
 なんとか行けそうな気がしてきました。

 都府楼政庁までの10数キロ地点では、先頭がペースをあげたので
 必死になって追いかけました。

 そうこうするうちに、最後はヨレヨレ状態でしたが
 二日市温泉までたどりつきました。

 久しぶりに全力を出し切ることの
 爽快感を味わうことができました。

 博多の湯で汗を流し
 龍天楼さんで乾杯。

 話を聴いているとみなさん
 フルマラソンや100キロウオークに参加されているよう。

 そういえば、後輩の弁護士たちも東京マラソンに参加したとか
 どこそこのハーフマラソンに参加したとか言っています。

 マラソンなどまったく特殊能力がもった一部の人の競技
 と思っていましたが、意外と身近かもと思いました。

 ともかく
 新しい自分に出会えた一日でした。
 

2011年8月5日金曜日

 相続・遺言の「ほ~(法)」律口座



 今月30日(火)19:00~20:30
 筑紫野市生涯学習センター3Fで

 ちくし法律事務所が主催する
 相続・遺言の「ほ~(法)」律講座をおこないます。

 市民法律講座の第2回で
 家族のために知っておきたい情報のご提供です。

 話し手はわが事務所の切れ者
 田中謙二弁護士です。

 どんな人にも死は必ず訪れます。
 人の死と同時に発生するのが相続です。

 相続人の間で円満に話し合いがまとまれば一番よいのですが
 時には遺産をめぐって仲の良かった親子・兄弟間でトラブルが。

 自分自身の死や大切な人の死によって家族の絆が壊れないように
 法律が定めた相続、遺言のルールを知っておきませんか?
 

2011年8月4日木曜日

 自力救済の禁止



 赤穂浪士は主君の仇を討ったのに
 切腹を命じられました。

 主観的に正義を実現していると判断しても
 裁判所をとおさないでやると犯罪となりえます。

 これを自力救済の禁止といいます。
 わが民法上もそのように解されています。

 たとえば、500万円を貸した債権者が債務者を脅す
 ことはよくありますが、恐喝罪になりえます。

 また、建物を賃貸した家主さんが賃料を支払わない
 店子さんを実力で追い出せば、強要罪などになりえます。

 たとえ権利行使であっても
 裁判所をとおさなければ犯罪となりうるわけです。

 最近、世の不景気のゆえか
 この手のご相談、ご依頼が増えています。

 急がば回れ。迂遠なようでも
 権利の行使は裁判所を通すことをお奨めします。
 

2011年8月3日水曜日

 被災地からの電話



 ちくし法律事務所のニュースがそろそろ
 みなさまのお手元に届いているようです。

 すでに何人かの方々から
 「届いたよ。」「読んだよ。」とお声がけをいただきました。

 なかでもうれしかったのは、気仙沼で被災した
 小野寺康男弁護士から電話をもらったことでした。

 被災後は呆然自失、被災地での無料法律相談をつづけながらも
 喪失感、自失感がぬぐえなかったようでした。

 それがようやく気持ちと心が快方へ向かいつつあり
 そんななかニュースが届いたので、電話してみたということでした。

 わがちくし法律事務所は筑紫地域に根ざし
 地域とともに歩む事務所を目指しています。

 気仙沼の地で地域事務所として頑張ってきた小野寺弁護士とは
 地域とともに生きる志を共通にしてきたわけです。

 小野寺弁護士と被災地のみなさまが一日も早く
 復興されることを祈ってやみません。
 

2011年8月2日火曜日

 大濠花火大会



 昨日は大濠花火大会でしたね。
 先輩のお誘いで20年ぶりぐらい。

 夏の花火は春の花見とよく似ています。
 どちらもめぐる季節のなか、一瞬の美しさを愛でるものなので。

 ヨーロッパの数百年前の大聖堂や絵画をめぐる旅とは
 まったく違います。

 消えていくのが惜しいような
 それでいいような。

 心のざわめきに耳をすます
 この感じがいいのでしょう。
 

2011年8月1日月曜日

 ちくし法律事務所ニュース・夏号



 ちくし法律事務所ニュース・夏号
 刷り上がりました。

 もうまもなく、事務所の住所録にお名前のある
 みなさまのお手元にお届けできると思います。

 表紙は大場敬介先生の「AQUA Ⅰ」
 宇宙の水の根源 清らかで美しいと想い…。

 巻頭は稲村晴夫弁護士の3.11原発事故に関する
 ごあいさつ。

 寄稿はNPO法人太宰府ボランティアネットワークの冨永敦夫さん
 「『歩かんね太宰府』と私」について語ってもらいました。

 続いて落合真吾弁護士が「全国B型肝炎訴訟、基本合意成立!!
 ~解決へのスタートライン」

 事件報告は(有)フルガードの植原正明代表。
 「『非は我にあり?』~あきらめない粘り強さを~」

 井上茉彩弁護士の初解決事件について
 報告してもらいました。

 そのあとは、他の弁護士とスタッフによる近況紹介です。
 スタッフの近況紹介がもっとも人気コーナーとの噂すらあります。

 このブログを読んで、ニュースを希望されるかたは
 当事務所までお問い合せください(092-925-4119)。